ダイエットをしていてちょいちょい疑問に思うこと。それは朝食とダイエットの関係です。
昔から「朝食は最も重要」とされる「朝食絶対論」が根強くあり、「朝食を食べないと太る」と言うのはよく聞く話。お相撲さんは太るために1日2回の食事でどか食いする、と言うのがわかりやすい例としてよく取り上げられますよね。
一方で最近は「8時間ダイエット」「プチ断食」など、朝食を食べないダイエット法や健康法も注目されていて、体のメカニズムに則った理屈があり、こちらもなかなか説得力があります。
朝食は食べた方が良いのか、食べない方が良いのか。結局どっちがいいの?ということで調べてみました。
成長期の子供には朝食は大切
まず一般的に考えて、10代までの成長期の子供は、朝食を食べた方が良いと思います。
子供は活動量も多いし代謝も活発で、多くのエネルギーを必要とします。成長期においては特に栄養のバランスも大事です。体が小さいほど代謝のサイクルが早いので、1日に3回の食事でエネルギーを補給する必要があります。未就学の幼児は3回の食事の他にも10時と3時にもおやつを食べますよね。これも栄養とエネルギー補給のためです。
☆ちなみに”朝食を食べる子供の方が成績が良い”とも言われますが、実際には明らかな影響は無いという実験データもあるそうです。
成長期を終えた大人にとってのダイエットと朝食の関係は?
今回は、成長期を終えた大人の話。
ダイエットと健康面においてどちらが良いのか?という観点から考えます。
朝食を食べた方が良い理由・食べない方が良い理由
“朝食を抜くのは不健康”、”朝食を抜くとかえって太る”というのはよく聞く話ですよね。調べてみると同様の意見がたくさん出てきます。食べた方が良い理由、食べない方が良い理由、それぞれ挙げてみました。
■朝食を食べた方が良い理由
- 規則正しい生活リズムのため、朝食は最も重要。
- 活動的な1日を送るためのエネルギー補給。
- 咀嚼することで脳が覚醒し、集中力が増す。
- 脳に栄養を与え、体温を上げて代謝を活発にする。
- 腸を刺激し、便通を促す。
- 1日3回の食事で栄養バランスをとる。
- 空腹が続くとストレスで血圧が上がり脳出血のリスクが高まる。
- 朝食を抜くとその後余計に食べてしまい、血糖値がガツンと上がり太りやすくなる。(肥満・糖尿病リスク)
- 食事はできるだけ早い時間にとった方がエネルギーとして消費されやすく太りにくい。
[st-kaiwa1]朝食は1日のリズムを整えるのに大切で、その日の体調を計るバロメーターにもなりますね。[/st-kaiwa1]
■朝食を食べない方が良い理由
- 胃腸を休める。
- カロリーオーバー・過食を防ぐ。
- 消化・吸収・排泄のサイクルがスムーズになり、代謝が活発になる。
- 便秘解消効果。
- 空腹状態で長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が活性化する。
- 糖尿病予防、動脈硬化予防、認知症予防。
- 脂肪燃焼、排泄・解毒作用、血圧やコレステロール良化、免疫力アップ、アンチエイジング効果。
[st-kaiwa1]胃腸への負担を考えると朝食は食べない方が良さそう。
代謝を活発にすることはダイエット効果につながりますが、どちらも代謝アップ効果ありなんですね…。[/st-kaiwa1]
「朝食を食べないと太る」の根拠は?
朝食を食べた方が良い理由は、「規則正しい生活=健康」という考え方に基づいているところが大きいように思います。ダイエットにおいても健康はもちろん大事ですよね。
実際ダイエット効果としてはどうなの?という点を検証してみましょう。
子供の頃からの習慣?
「1日3食きちんと食べましょう」というのは、明治時代からの日本の生活スタイルに由来していて、特に「朝食は重要」と言うのは、子供の頃から学校で教育され身についている習慣です。
確かに成長期の子供にとっては、これは大事なことですが、成人になると代謝も落ち、1日に消費されるエネルギー量は限られてきます。ハードな肉体労働をするとか筋トレをするアスリートなら別ですが、通常それほど多くのエネルギーは必要なく、朝食を食べなくてもスタミナ不足になることはありません。逆にカロリーの摂りすぎ、過食(=肥満の元)になっている場合もあります。
朝食抜き=太るとは一概に言えない
「朝食抜きはかえって脂肪を溜め込むことになる」、「その後の食事で余計に食べすぎてしまい太る」と言われる点についてはどうでしょう。
確かに、”朝食を抜く人ほど1日の摂取カロリーが多く肥満度も高い”、”朝食を食べている人ほど健康体重を維持している”という研究データもあります。
また、朝400kcal、昼800kcal、夜1000kcalの食事を用意し、朝昼夜3食食べる人、昼夜2食食べる人、夜だけ食べる人に分けてデータを取ったところ、夜だけ食べる人が最も血糖値が高く上がり、3食食べた人が最も血糖値の上昇が緩やかだったそうです。
同じ摂取カロリーにし、朝食をメインにした人、夕食をメインにした人の比較でも、朝食をメインにした人の方が圧倒的に体重が減ったという結果も。
一方では、2014年に行われた実験で、同じ朝食メニューを用意し、食べる人と食べない人に分かれて身体測定を実施した結果、食べない人の方が体重が減っていたという結果も出ています。この実験では、朝食抜きグループは朝食を抜いてもその後の食事でどか食いすると言うことが殆んど無く、結果総摂取カロリーが少なくなったため痩せたとの事。朝食を食べることが健康に有利かというと、この実験では健康数値上(血圧やコレステロール値など)の明確な差は出なかったということです。
ただこれらは研究室で緻密に行われた実験データではなく、ひとつの観察データに過ぎないため、実験の食事内容、そのほかに食べたもの、生活習慣や体質などの要因もあり、朝食抜き=太る、太らないとシンプルに結論づけられることでもないとのこと。
朝食を抜くことが、太るとか健康を害することに直結しているとは一概に言えないというのが現状のようです。
朝食抜きは脳出血リスクが高まる?
朝食抜きは健康上よくないという大規模な研究データも発表されていて
45歳から74歳までの83000人を13年間にわたって調査したところ、朝食を食べない習慣の人の方が、脳出血になる確率が4割近く高かったという結果(大阪国立がんセンター論文)。
この研究は、世界で初めて朝食欠食により脳出血のリスクが上昇する可能性を示したものだそうで、朝食をとることの重要性を支持するものとされています。一方で、個々の体質や生活環境、食べているものなどが影響している可能性も否定はできないとのことで、どれくらい正確なデータなのかは疑問が残るところです。
脳出血の原因は高血圧ですが、空腹のストレスが高血圧の原因になるとのこと。ただ、高血圧の原因は空腹のストレスだけではないと思うので、朝食を食べないことが脳出血の原因に直結していると考えるのも少し強引すぎるとも言えますよね。
健康意識や生活習慣の影響?
朝食を食べないから太る、という単純なことではなく、朝食を食べない人は、生活も不規則だったり健康にも気を使ってない傾向があるため、結果太ってる人が多く、逆に朝食を食べる人は、健康意識が高い人が多い傾向から、太っている人が少ないのでは?という見方もあります。
朝食を食べる習慣のある人が食べなくなると痩せる、食べない習慣の人が食べるようになっても痩せる、という不思議な研究データもあるようです。
「朝食を食べない方が良い」の根拠は?
1日の摂取カロリーが減るという理由から、朝食を食べない方が痩せる、と言う実験結果もあったようですが、体の代謝サイクルに則った考え方もあります。
体の代謝サイクルに則った根拠
食事をしてから、食べたものが消化・吸収・排泄されるまでにおよそ18時間かかると言われています。
例えば夕方18時に夕食をとると、全て排泄されるのが18時間後の翌日のお昼の12時になります。ですから、もし朝食を朝7時に食べると、まだ前日食べたものの排泄作業の真っ只中に、また食べ物を体に入れることになり、体への負担になるだけでなく、排泄作業が十分に行われないままになってしまいます。
私たちは「食べること」「栄養を摂ること」だけに気を取られがちになりますが、「排泄」もとても重要で、排泄(=解毒)が十分に行われないと、体の中に老廃物や毒素が残っていくことになります。これが繰り返されると代謝が滞り、体内に老廃物や毒素、脂肪も蓄積されていき、肥満や様々な病気の元になっていくのです。ですから、健康にもダイエットにも「排泄」はとても大事で、午前中は「排泄」作業に集中した方が良いと言うことです。
また、胃腸を休める意味もあります。前日の夜食べたものがまだ体の中に残っている状態で朝食を食べると、胃腸が休まる時がありません。24時間365日何十年も酷使し続けることになります。空腹時間を作って胃腸を休めるてあげることも大事なんですね。
空腹時間が長寿遺伝子を活性化
もうひとつ、空腹時間を作ることで、長寿遺伝子が活性化すると言う理由。老化の原因の75%は生活習慣や環境によるもので、そこには長寿遺伝子が大きく関わっています。長寿遺伝子は誰もが持っていて普段の生活では眠っていますが、適度な運動で筋肉が収縮した時と、空腹状態において活性化します。
長寿遺伝子が活性化されると、見た目だけでなく内臓や骨の老化予防・病気の予防にも有効です。若々しく健康的にダイエットするなら見逃せないポイントではないでしょうか。
この代謝のリズムに則って食事をすると、体の代謝が正しく行われ、余分な脂肪を燃焼、老廃物もきれいにし、ダイエットにもつながると言うことですね。
結論・食べる食べないよりも内容が大事
「朝食を食べないと太るのか?問題」については、研究データや論文では未だ両方の意見が分かれていて、現状ではどちらともはっきり結論づけるのは難しそうです。
朝食を食べる食べない、ということよりも食事の内容や食べ方、そして生活習慣が大事だということ。1日トータルで考えるのが良さそうです。
朝食を抜いて昼食にどか食いすれば太りやすくなるし、夜遅くにがっつり食べた時は、朝は食べない方が胃腸への負担とカロリー取りすぎも防止できますよね。
また、朝食を食べた方が胃腸を刺激して便通を促すと言われる点については、水を飲むだけでも十分に効果はありますし、朝食を食べない方が代謝サイクルがスムーズに行われ、便秘も解消されるとも言われます。
何も食べないのは心もとないという場合は、フルーツとかスープなど少し食べると落ち着くのではないでしょうか。
それまでの習慣で、朝食を食べるほうが体調が良ければ続ければ良いし、なかなかダイエットが進まないという場合は、食習慣を変えてみるのは効果がありそうです。
食べたり食べなかったり時間もバラバラという不規則なのは体のリズムが乱れるので、できれば規則的に継続する方が良いようです。
■朝食を食べない方が良い場合
- 前日の夕食時間が遅かった
- 前日の夕食にがっつり食べ過ぎた
- 太り過ぎていてカロリー制限が必要
- 体が重いと感じるとき
- 代謝を良くしたい場合(体内のクリーンアップ!)
朝食を食べる場合は内容と食べ方が重要です。朝から甘い菓子パン、お肉やご飯をがっつり食べると血糖値が急上昇して太りやすくなります。朝は消化の良いもの、低GIなもの、果物やスープなどがおすすめです。
私の場合
ちなみに私は、数年前までは朝は習慣的に必ずコーヒーとパンを食べていました。もう朝食を食べることは、何も考えずとも条件反射的に、朝の身支度の一連の流れに組み込まれていました。
朝食を食べる習慣はやはり子供の頃からで、いつもパン。大人になってからもずっと朝はパンで、食生活は特に変えていないのに、30代になってから少しずつ太り出しました。これは年齢とともに代謝が落ちたためと思われます。
ダイエットを始めてしばらくは やはり朝食は食べていましたが、痩せることはできました。その後、それほど食べたくないのに無理して食べていたことに気づいてやめても、体重は減っていきました。
要は、朝食に関係なく、朝食も含めた食生活やライフスタイルの総合的な影響で、痩せたり太ったりするのだと思います。
最近は朝食は白湯とフルーツくらいで済ませていて、体重維持できていますし、体調も良くこのスタイルが気に入っています。
まとめ
長々と書きましたが、結局大人の判断で体調やライフスタイルに合わせて臨機応変にすれば良いという結論になりました(笑。
朝食の内容や食べ方が大事で、朝食を食べる食べないはどちらでも良い!
今は飽食の時代、仕事もライフスタイルも多様化しています。昔からの習慣や「朝食は食べなくてはいけない」という思い込みだけで食べているとしたら、自分に合った方法を一度見直してみると良いのではないでしょうか。
個人的には、長寿遺伝子と代謝サイクルの話にすごく説得力を感じるので、朝食は食べない(または軽く)がベターかなーと思います。実際そのパターンを実践していて体調が良くダイエット効果も実感できていますので。
■ダイエットのためのおすすめな食事パターンは
- 朝は食べない または軽く(消化の良いもの・低GI食品)
- 昼はタンパク質メイン(野菜から食べる)
- 夜は野菜メイン
…という感じでしょうか。
”朝食はやっぱり食べたい!”という人にも、アラフォー以上になると代謝が落ち老廃物がたまりがちになりますので、胃腸を休めるためにもたまにプチ断食して体の中を綺麗にすることをおすすめしたいです。
空腹感って意外と気持ち良いということを体感してみてはいかがでしょう。