あさイチ いじめ後遺症とは?症状・対処法や治療法など

「いじめ後遺症」ってご存知でしょうか。
子供の頃受けたいじめが心に大きな傷となってトラウマとなり、大人になってもパニック障害やうつ、対人恐怖症などさまざまな症状に苦しみ、日常生活にも支障が出てしまうくらい辛い思いをされている人が多くいるそうなんです。

そしていじめ後遺症は治療することができるそうです。状況によっては簡単ではないかもしれませんが、辛い思いをしている人は、まずは家族や専門医に相談されると良いとのこと。治療を受け回復された人もいます。

今回は、2/6NHK「あさイチ」で放送された「いじめ後遺症とその対処法」などについてまとめました。

 

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いじめ後遺症とは?

子供のころにいじめを受けたことのある人は、その後うつ病や不安障害になる確率が高いそうです。

いじめを受けたときの苦しみが大人になっても続いたり、一時は忘れていてもふとしたことがきっかけでトラウマが蘇ってきて、不安が大きくなり、日常生活にも支障をきたしてしまい、うつ病・対人恐怖・摂食障害などの精神疾患を発症することもあるそうです。

 

日常生活にも支障

暴言や虐待を繰り返し受けると、自尊感情が低くなり、自己否定的になってしまうのだそうです。

ただ外見的なことでからかわれ、次第にエスカレートして殴る蹴るの暴行を受けるなどひどいケースもあります。

本人にはまったく非がないにもかかわらず、「自分が悪いんだ」「自分は価値のない人間なんだ」と思い込み、周囲からも理解されず、その辛い思いを自分の中に全て抱え込んだままになってしまうと、自己否定的になり対人関係もうまくいかなくなってしまうこともあるとのこと。

また、こういった経験や心の傷は、記憶から消してしまうことができませんので、ずっと心の奥に抱えていることになってしまいます。

一旦は乗り越えられたように思えても、時間がたってから些細なことがきっかけで蘇ってきて不安になったり、後遺症をおこすこともあるのです。

実際に、パニック障害や摂食障害になったり、人と会うことや電話で話すことも難しく、仕事もできなくなってしまったり、日常的な外出もできるだけ顔を隠すなど人目を避けてしまうなどの症状が。

こういった不安な感情から逃れるため、無心でキャベツを刻んでしまうという人も。気を紛らわすために毎日キャベツを刻むので、1週間に4個ものキャベツを刻んでしまうのだそうです。キャベツを刻んでいる時だけが、心が安らぐのだということです。

このように、何のためにもならない行動を無心で繰り返すということはよく見られる行動で、つらい気持ちから逃れるために、クレヨン1本を使い切るまで描き続けるというような行動もあるそうです。

 

教師や親の対応にも問題が

いじめを目撃したり、相談されているにもかかわらず、何も対応をしてくれない教師や親の態度も問題になります。

教師の個人的な感情での体罰や、教師が面白がって一緒に暴言を吐くなどというケースも散見されますよね。ありえないことですが、周りの大人の対応によってますます状況を悪化させてしまうことも多いようです。

また、一番理解してほしい親に突き放されてしまうと、子供は頼れるところがなく孤独感が募り、精神的にかなりつらく不安定になってしまいます。

 

”あなたは悪くない”

いじめられた人が一番大きな苦痛と感じるのは、「恥」の感覚だと言われています。
「自分が悪い」「いじめられたことが恥ずかしい」という感覚が、自分の中に閉じ込めてしまうことになりがちです。

 

子供が親に相談してきたときに言ってはいけない言葉として、

・そんなの気のせいじゃない?
・あなたにも悪いところがあったんじゃない?
・本当のところはどうなの?

…などがあります。

親としては良かれと思ってかけた言葉も、余計傷つけてしまうことがあるので難しいですよね。
まずは、「よく話してくれたね」と褒めてあげてください。

そして、「あなたは悪くない」ということを伝えてあげてください。

否定的な言葉、評価や事実確認をしようとせず、一旦ゆっくり話を聞き感情を受け止め、理解を示してあげることがとても大切です。

いじめられる子に非はないのですから。

「いじめられっ子」ではなく「被害者」

番組では、「いじめられっ子」という発言があり、
本来は「いじめ被害者」「いじめ加害者」というのが正しいとの指摘もありました。

確かに、「いじめっ子」「いじめられっ子」という表現は、当事者の気持ちを汲んだ言い方ではないですよね。配慮が足りないとも思えました。
こうした言葉でも、当事者は深く傷ついてしまうのだという意見が寄せられていました。

専門家の先生によると、いじめる子は攻撃的な子が多く、いじめられる子は優しく受け身なタイプの子が多いのだそうです。心優しい性格の子は特に、周囲の雰囲気を壊さないようにと我慢してしまうことが多く、状況が悪化することもあるようです。

 

いじめは脳にもダメージを与える

暴言や虐待は、精神的なダメージだけではなく、脳にもダメージを与えることがわかっています。

暴言や虐待を受けたことがある人は、聴覚野という脳の部位が約14%増えているというデータがあり、厳しい体罰を受けると前頭前野が19%減り扁桃体が変形するというデータも。

防衛本能が働き、人の言葉が入ってきにくくなるなど、対人関係はもちろん学習能力の低下などの影響もあるんですね。

精神的ストレスは、自律神経やホルモンにも影響を与え、さまざまな体の不調をひきおこします。

登校時間になるといつもお腹が痛くなる、などというのはストレスからきていることもあります。「仮病」と片付けられてしまうこともあるようですが、何らかのサインかもしれません。大人でもあることですね。

 

治療法は?

いじめ後遺症は、きちんと治療することで治すことができるそうです。

悩んでいる方は、まずは身近な人に相談し、そして専門医にも相談されることをおすすめします。

1年ほど心療内科に通い治療をうけて、回復されたという人もいます。

病院(心療内科や精神科)に行くのはちょっと抵抗があると感じる場合は、地域の「精神保健センター」や「保健センター」に相談するのが良いそうです。
そこでカウンセラーに話を聞いてもらったり相談し、必要であれば、適切に医療機関などを紹介してもらうこともできるそうです。

 

・話を聞いてもらい、認めてもらうこと。

心療内科などの専門医を受診し、まずは話を聞いてもらうことです。
「自分が悪いからいじめられる」という考えから、「自分は被害者なんだ」という認識に変えることが大事です。

いじめは、100%加害者が悪いので、被害にあった人にはどこにも非がなく悩む必要はないのです。このことをきちんと理解し、気持ちの整理をつけていくこと。

そのためには、周囲に認めてもらうこと。認めて欲しいという気持ちが満たされ、自己肯定できることが大事です。

心の奥底にしまい込まれ封印されたままでは解決されないため、専門家と一緒に掘り起こし、適切に処理をすることです。

適切な治療を受けることで、脳へのダメージも回復する可能性もあり、他の部分を活性化することで機能も回復するそうです。心のリハビリをすることで脳も変わるのです。

「認めてくれる」誰かがいるということはとても大切なことなんですね。

 

・気持ちの整理をすること。

専門医による、「いじめ模擬裁判」という治療法も紹介されました。
★必ず専門家の指導のもと行ってください。
医師が裁判官役として聞き手になり、いじめた相手のこと、今思っていることなどを書き出していきます。
・加害者の顔
・相手の悪かったところ
・相手の嫌なところ
・求刑。相手にどうしてほしいか。など。

書き出していくことで、「いじめ」を客観的な出来事として捉え、「自分は悪くないんだ」ということをはっきりと認識します。

また、加害者に「罰」を与えることで、それまでの受け身で支配される側だったのが、能動的になり支配する側になり自尊感情を高めることができるそうです。

これは気持ちを整理する方法の1つなので、ノートに書きだすだけでも良いそうです。
紙に書き視覚化することで、脳も気持ちも整理しやすくなるんですね。

誰かに話すこと以外にも、メールやブログ、日記などで言葉にするというのもセルフケアの一つになるそうです。

 

まとめ

いじめによる悲しいニュースを耳にするたびに本当にいたたまれない気持ちになります。そして何年も後遺症に悩んでいる人のつらさははかりしれません。

番組にもものすごく多くの経験談や意見が寄せられていたようです。
私も子供も、少なからず傷ついた経験があり、忘れたくても記憶は消すことができないので、今でも気持ちのどこかにしこりが残っています。

周囲に理解し認めてもらうということは、とても大切なんですね。
まずは一番信頼できる家族に話して、そして相談を受けた人は温かく受け止めてあげて欲しいと思います。
後遺症が辛い人は、信頼できる専門医にも相談してみるといいですね。
すこしでも不安が和らいで、毎日を穏やかに過ごすことができれば良いと思います。

 

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